「JSONハイジャック」

JSONハイジャックの定義

JSONハイジャックは、Webブラウザのクロスドメインポリシーを悪用してJSONレスポンスから機密データを盗み出すセキュリティ脆弱性を指します。JSONはJavaScript Object Notationの略で、Webアプリケーションのクライアントとサーバー間の通信に一般的に使用される軽量なデータ交換フォーマットです。

JSONハイジャックの仕組み

JSONハイジャックは以下のステップで行われます:

  1. 異なるドメインからのデータ取得: WebアプリケーションがJavaScriptを使用して異なるドメインからデータを取得する場合、通常はAPIエンドポイントにリクエストを送信し、JSONデータをレスポンスとして受け取ります。

  2. クロスオリジンリクエスト: CSRF攻撃からの保護のため、多くのWebアプリケーションはJSONデータのクロスオリジンリクエストを許可しています。

  3. ブラウザの操作: 攻撃者はこのクロスオリジンポリシーを悪用し、被害者のブラウザを目標ドメインへのリクエストへと誘導します。このリクエストにはクッキーなど被害者の認証情報が含まれています。

  4. 傍受とデータアクセス: 攻撃者のサーバーはリクエストを傍受し、しばしば機密情報を含むJSONデータにアクセスできます。

予防のヒント

JSONハイジャックのリスクを軽減するために、次の予防策を実行できます:

  1. サーバーでCORSを実装する: CORSを使用すると、JSONデータにアクセスできるドメインを指定できます。CORSを正しく構成することで、信頼された認可されたドメインのみアクセスを許可できます。

  2. JSONレスポンスに機密データを含めない: 認証トークンや個人識別情報(PII)などの機密情報をJSONレスポンスに含めないことが重要です。機密データをJSONデータから分離することで、攻撃者によるアクセスのリスクを低減します。

  3. 暗号化とトークン化による機密データの保護: JSONレスポンスで送信する前に機密データを暗号化することで、保護層を追加します。トークン化を使用して機密データをトークンに置き換えることも、データ漏えいのリスクをさらに低減します。

  4. JSONレスポンスの処理にdocument.writeメソッドを使用しない: document.writeメソッドは攻撃者に悪意のあるコンテンツをページに注入させる可能性があり、セキュリティ脆弱性を引き起こすことがあります。代わりに、WebアプリケーションでJSONデータを動的にレンダリングするためのより安全な方法を検討してください。

例とケーススタディ

Twitter JSONハイジャックの脆弱性

2007年、TwitterのウェブサイトでJSONハイジャックの脆弱性が発見されました。この脆弱性により、攻撃者はサーバーからのJSONレスポンスを操作してユーザーのダイレクトメッセージを盗むことができました。

この攻撃では、被害者を特別に作成されたWebページに誘導し、TwitterのAPIへのクロスドメインJSONリクエストを行わせました。レスポンスが受信されると、攻撃者のJavaScriptコードがJSONデータにアクセスでき、ユーザーのダイレクトメッセージを含む情報を取得しました。

Twitterは、while(1);プレフィックスを使用してJSONハイジャック攻撃を防止する対策を実装し、この脆弱性に素早く対処しました。

JSONPの脆弱性

Padding付きJSON(JSONP)は、JSONベースの通信の一つのアプローチであり、JSONハイジャックに対して脆弱です。

JSONPは、異なるドメインから提供される外部のJavaScriptファイルを含めることを許可します。攻撃者はこのメカニズムを悪用して、JSONPレスポンスに悪意のあるコードを注入し、ユーザーのブラウザやデータのセキュリティを脅かす可能性があります。

JSONPに関連するリスクを軽減するためには、サーバー側でJSONPレスポンスを検証および消毒し、信頼されたソースのみがJSONPコールバックを提供できるようにすることが重要です。

追加情報と視点

  • JSONハイジャックは主にクライアント側のセキュリティ問題であり、成功するためには複数の脆弱性の組み合わせが必要です。近年では、SameSiteクッキーや厳格なCORSポリシーなどのブラウザセキュリティの改善により、攻撃者がこれらのタイプの攻撃を実行することが難しくなっています。

  • "JSONハイジャック"という用語はセキュリティコミュニティで一般的ではありません。この攻撃は通常、"JSONPハイジャック"または"クロスドメインJSONハイジャック"と呼ばれています。

  • JSONハイジャックの防止はWebアプリケーション開発者だけに頼るべきではないという主張もあります。WebブラウザとWeb標準もこの脆弱性を軽減するための厳格なセキュリティ対策の実施に役割を果たすべきです。

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